人文研究見聞録:上山天満天神社 [滋賀県]

滋賀県東近江市にある上山天満天神社(うえやまてんまんてんじんじゃ)です。

平安時代に創建された古い歴史を持つ天神社で、祭神に天常立命菅原道真公を祀っています。


神社概要

由緒

滋賀県神社庁HPによれば、天慶年間(938~946年)当社祭神が高嶋郡比良山より岩船に乗って湖上を東に進んで繖山麓に渡り、勝菅の岩屋の壇上に鎮まったと古文書にあるそうです(出典は海録巻の20、淡海輿地志略巻の9、巻の65、温故録など)。なお、ここでいう当社祭神は、岩船神社の案内板では比良大神(白髭明神)、磐座の案内板では菅原道真公となっています。

また、当社は神亀5年(728年)に社号を得て、貞和3年(1347年)5月には足利尊氏より3000歩(2000歩とも)の社領を許され、天正元年(1573年、または天正3年とも)12月には織田信長より3000歩の社領を許され、明治9年(1876年)10月には村社に列せられたとされます。

また、当社拝殿に掲げられている『鎮守天神宮記』によれば、当社は第74代鳥羽天皇の御代に当地に開かれた寺院の鎮守社として勧請され、高皇産霊神(タカミムスビ、高木神)を祀っていたとも云われているようです(漢文なので誤訳の可能性あり、詳しくは下記参照)。

なお、由緒書などによる解説は以下の通りです。

【社歴畧掲】

当社は古伝に曰く、"天慶年間(938~946年)創立の旧祠なりと境域に岩船神社あり、神亀5年(728年)草■なりと云う。

貞和3年(1347年)5月 足利尊氏 社地2000歩を領せしめ、天正元年(1573年)12月 織田信長 先規に任せしめたる"等、社記に詳なり域内各所に岩窟を存し、巨岩 怪石 老松 古杉の間に在りて、実に千古の霊境たるを示せり。

【鎮守天神宮記】※おそらく転記に誤字があります

抑江陽神前群垣見郷猪子里成佛教寺鎮守天神宮椿輿恭奉伺之則取祭祀一座高皇産霊神者一奉称神漏岐命又高木神宇宙間生萬物之霊験在之人皇七十四代鳥羽帝天神元戌子年實信大僧■成佛教寺開基之砌降臨僧正齋戒説社壇勧請之以奉仰護法発達而後上下諸人参詣袖精祈信念神徳弥熾而教刹社頭益繁昌矣神社二口社侶成佛教寺勤行又曽被寄供田應保二年伊庭出羽守重遠弓矢一張奉納是当宮者垂迹最遠霊妙之瑞籬而佛法擁護国土安寧衆生息災之鎮守也可仰可崇也茲記神縁教刹縁起諸倶永可伝後代者也

祭神

上山天満天神社の祭神は以下の通りです。

・天常立命(アメノトコタチ):『古事記』においてクニノトコタチに先立って現れた別天津神の一柱とされる
菅原道真公(すがわらのみちざね)平安中期の政治家(死後、天満天神として信仰される)
 → 当社にまつわる古文書では、比良大神(白髭明神)と同一視されているとも解釈できる

※『鎮守天神宮記』では、高皇産霊神(高木神)を祀っていたとされる

境内社

岩船神社

人文研究見聞録:上山天満天神社 [滋賀県]

上山天満天神社の境内社とされる岩船神社(いわふねじんじゃ)です。

猪子山公園の入口に鎮座しており、社殿の傍に岩船と呼ばれる舟形の巨岩を祀っています。

詳しくはこちらの記事を参照:【岩船神社(猪子山公園) 】

境内の見どころ

鳥居

人文研究見聞録:上山天満天神社 [滋賀県]

上山天満天神社の鳥居です。

猪子山公園の入口にあり、社領の広さを示しています。

拝殿

人文研究見聞録:上山天満天神社 [滋賀県]

上山天満天神社の拝殿です。

猪子山公園の中腹に位置しており、鳥居から やや距離があります。

料金: 無料
住所: 滋賀県東近江市猪子町154(マップ
営業: 終日開放
交通: 能登川駅(徒歩16分)

公式サイト: http://www.shiga-jinjacho.jp/ycBBS/Board.cgi/02_jinja_db/db/ycDB_02jinja-pc-detail.html?mode:view=1&view:oid=823
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。