人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

滋賀県東近江市の太郎坊宮境内にある夫婦岩(めおといわ)です。

赤神山に鎮座する二つの巨大な磐座であり、大神の神力によって押し開かれたと言い伝えられています。


概要

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

阿賀神社夫婦岩(めおといわ)は、男岩(大)女岩(小)と呼ばれる二つの巨岩で形成された磐座であり、山を神として崇拝する磐境信仰(いわさかしんこう)の発祥の地・近江高天原(おうみたかまがはら)と呼ばれています。

言い伝えによれば「大神の神力によって真二つに押し開かれた」と云われ、「この間を通れば、即座に病苦がなくなり、願いも叶うが、悪心のある者は岩に挟まれる」とされています。

一方、科学的には赤神山を含める湖東平野の山々は、中生代白亜紀(7000万年前)の火山活動によって形成され、夫婦岩は山を構成する火成岩(マグマが冷えて固まった岩石)が冷え固まって収縮する際に生じる割れが発達したものと考えられているようです。

なお、由緒記・案内板による解説は以下の通りです。

【太郎坊・阿賀神社由緒記(抜粋)】

本殿前には、夫婦岩と称される高さ数十メートルの二つの巨岩がある。言い伝えでは大神の神力により、巾約80センチ、長さ20メートルにわたり、真二つに押し開かれたとされている。

「この岩の間を通って参拝する者は、即座に病苦を除き、諸願が成就するが、悪心ある者は岩に挟まれる」ともいわれ、子供には「悪戯をしたり嘘をついたら岩に挟まれる」と教え、戒めの場ともなっている。

【太郎坊阿賀神社の夫婦岩】

阿賀神社の鎮座する赤神山(あかがみやま)をはじめ、湖東平野に散在する山々は中生代白亜紀(およそ7千万年前)の火山活動でできたと考えられており「湖東カルデラ」と呼ばれている。

「湖東流紋岩(ことうりゅうもんがん)」と呼ばれる岩石で構成されており、湖東平野の特徴的な地形景観を形成している。火成岩は冷えて固まっていく時に収縮し、「節理(せつり)」と呼ばれる規則的な割れが生じる。この夫婦岩は、節理に沿って割れ目が発達したものである。

昔から、この間を通って参拝する者には、即座に病苦を除き、諸願成就するが、悪心ある者は岩に挟まれると言われてきた。節理が平行に見事にずれた形状は、まさしく言い伝えの「大神の神力を以って左右に押し開かれた」霊力を感じさせるものである。

夫婦岩の鳥居

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

夫婦岩の鳥居です。

男岩

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

夫婦岩の一つである男岩です。

二つの岩のうち、大きな方を指します。

女岩

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

夫婦岩の一つである女岩です。

二つの岩のうち、小さな方を指します。

夫婦岩の間

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

夫婦岩の間の様子です。

男岩と女岩

人文研究見聞録:夫婦岩(太郎坊宮) [滋賀県]

本殿から見た男岩と女岩です。

料金: 無料
住所: 滋賀県東近江市小脇町2247(マップ
営業: 終日開放
交通: 太郎坊宮前駅(徒歩22分)

公式サイト: http://www.tarobo.sakura.ne.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。