堀越神社 [大阪府]
2015/08/21
大阪市天王寺区茶臼山町にある堀越神社(ほりこしじんじゃ)です。
四天王寺の付近に鎮座している神社であり、聖徳太子によって建てられた四天王寺の鎮守である四天王寺七宮の一社に数えられています。
神社概要
由緒
社伝によれば、飛鳥時代に推古天皇の摂政を務めた厩戸皇子(聖徳太子)が、その叔父にあたる亡き崇峻天皇を偲んで、四天王寺建立と同時に この地に崇峻天皇を祀る社殿を建立したことに始まる神社とされています。
また、「堀越」という社名は、明治中期まで境内に美しい堀が存在しており、人々がその堀を越えて神社に参拝したということから「堀越」と呼ばれるようになったとされています。
なお、古くから「堀越さんは、一生に一度の願いを聞いてくださる神さん」という言い伝えがあるそうです。
祭神
堀越神社の祭神は以下の通りです。
主祭神
・崇峻天皇(すしゅんてんのう):日本の第32代天皇
配祀
・小手姫皇后(おてひめこうごう):崇峻天皇の妃
・蜂子皇子(はちこおうじ):崇峻天皇の第三皇子、出羽三山開祖・能除大師と同一とされる
・錦代皇女(にしきでこうじょ):崇峻天皇の皇女
・崇峻天皇(すしゅんてんのう):日本の第32代天皇
配祀
・小手姫皇后(おてひめこうごう):崇峻天皇の妃
・蜂子皇子(はちこおうじ):崇峻天皇の第三皇子、出羽三山開祖・能除大師と同一とされる
・錦代皇女(にしきでこうじょ):崇峻天皇の皇女
崇峻天皇とは?
崇峻天皇(すしゅんてんのう)とは、日本の第32代天皇です。
『日本書紀』によれば、神道派の物部氏と仏教派の蘇我氏の間で起きた「丁未の乱(ていびのらん)」の際、蘇我氏側に立って物部氏と戦ったとされ、丁未の乱で蘇我氏が勝利した後に即位したとされています。
その後、法興寺(飛鳥寺)や四天王寺などの寺院建立を積極的に後押ししたとされていますが、当時の政治的な実権を握っていたのは蘇我馬子だったとされ、『聖徳太子伝暦』では蘇我馬子の態度を快く思っておらず、それを以って馬子との確執があったということが記されています。
そして、崇峻天皇のもとにイノシシが献上された際に「いつかこの猪の首を斬るように、自分が憎いと思っている者を斬りたいものだ」と発言し、それを知った蘇我馬子は自らの暗殺を警戒して東漢駒(やまとのあや の こま)を派遣し、天皇を暗殺させたとされています。
そのため、暗殺によって崩御した天皇であり、堀越神社は崇峻天皇の御霊を鎮魂するために建てられた神社なのかもしれません。
『聖徳太子伝暦』および「丁未の乱」についてはこちらの記事を参照:【聖徳太子伝暦】、【丁未の乱とは?】
境内社
太上神仙鎮宅霊符尊神
堀越神社の太上神仙鎮宅霊符尊神(だじょうしんせんちんたくれいふそんしん)の社です。「ちんたくさん」と通称されています。
この神は「お守りやお札の祖神」とされており、陰陽道における天地創造の中心に位置する宇宙根源の神とされており、その信仰は、紀元前の中国の前漢の孝文帝(こうぶんてい)の時代に広まったとされています。
なお、ちんたくさんの「鎮宅霊符(ちんたくれいふ)」は、陰陽道最高の護符とされています。また、節分や七夕などの星祭りは この神の家内安全・商売繁盛のお祭りなんだそうです。
そのため、毎年の七夕には星祭を七日七夜行い、七月七日の結願の日に大真西王母須勢理姫命(だいしんせいおうもすせりひめのみこと)を勧請して、星霊の力により生命の復活再生を希う繁昌祭を行うんだそうです。
ちなみに、西王母(せいおうぼ)とは中国で古くから信仰されている女神であり、須勢理姫(スセリヒメ)とはスサノオの娘で大国主の正妻という神です。大真西王母須勢理姫命は この2神の名を持つ神ですが、これらは同一神という事なのでしょうか?
「陰陽道」についてはこちらの記事を参照:【陰陽道とは?】
熊野第一王子之宮
堀越神社の熊野第一王子之宮(くまのだいいちおうじのみや)です。
この社は、ヤタガラスのシンボルで知られる和歌山の熊野への参拝行事「熊野詣(くまのもうで)」の出発点である「窪津王子(くぼつおうじ)」を合祀した社であるとされています。
窪津王子はもともと大阪市中央区天満橋付近に鎮座しており、後に四天王寺西門付近の熊野神社に遷座し、その後 堀越神社に合祀されることになったそうです。
ちなみに、四天王寺の境内には「熊野権現礼拝石」があり、熊野を目指す人々は最初に此処を拝むべしとされていたそうです。
「熊野詣」についてはこちらの記事を参照:【熊野信仰とは?】
茶臼山稲荷神社
堀越神社の茶臼山稲荷神社(ちゃうすやまいなりじんじゃ)です。
徳川家康が大坂夏の陣の際に この社の祭神に危機を救われたとされることから、家康の信仰が厚かったと伝えられているそうです。
黒龍社
堀越神社の黒龍社です。
黒蛇の神を祀っている社であり、事業発展加護の御利益があるとされています。
なお、蛇は古くから神聖な生物ともされており、その代表格として、三輪山に祀られる大物主は蛇体であったと伝えられています。
白龍社
堀越神社の白龍社です。
白蛇の神を祀っている社であり、黒龍社同様、事業発展加護の御利益があるとされています。
余談ですが、三輪山で祀られる大物主は蛇体とされますが、実は龍体であるという伝承もあり、その結論として「龍蛇神」であるとする説もあります。
境内の見どころ
鳥居
堀越神社の鳥居です。
本殿
堀越神社の本殿です。
本殿前の鳥居の形は、二本の柱に注連縄が張られたものになっています。
注連縄に吊り下げられた提灯は、夜にライトアップされることがあるようです。
神紋
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堀越神社の神紋は「菊家紋章」の中心に「掘」の字が刻まれています。
菊家紋章(きくかもんしょう)とは、日本の天皇および皇族の紋章であり、菊の御紋と呼ばれます。
また、十六花弁が重なっているこの形は、正確には「十六八重表菊(じゅうろくやえおもてぎく)」と言います。
余談ですが、十六弁の菊は存在しないため、菊とされるこの紋章は実は「太陽」を表しているという説もあります。
堀越さんの御神木
堀越神社の堀越さんの御神木です。
幾度にわたる落雷や火災に耐えた樹齢550年を超える古木であり、神霊が降りてくる樹とされています。
なお、「気力が落ちた」「疲れた」と感じた時には神木の持つ力をいただけるそうです。
かえる石
堀越神社のかえる石です。
カエルに似た形をした奇石であり、「カエル」に因んで「人や物が自分の元へ『帰る(還る)』」という御利益が得られるそうです。
なお、全国にも似たような奇石が存在し、その多くが上記のような謂れを含んでいます。
石の水槽
堀越神社には石の水槽があり、その中で金魚が飼われていました。
なお、この石がもともと水槽として用いられていたのかは不明であり、個人的には柱の礎石だったんじゃないかと思います。
料金: 無料
住所: 大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-8(マップ)
営業: 6:30~19:00
交通: 天王寺駅(徒歩7分)
公式サイト: http://www.horikoshijinja.or.jp/
住所: 大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-8(マップ)
営業: 6:30~19:00
交通: 天王寺駅(徒歩7分)
公式サイト: http://www.horikoshijinja.or.jp/
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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