櫛代賀姫神社 [島根県]
2015/10/25
島根県益田市にある櫛代賀姫神社(くしろかひめじんじゃ)です。
坂の上の明星山に鎮座しており、この地を開拓したとされる櫛代族の氏神を祀っています。
神社概要
由緒
由緒書によれば、奈良中期(733年)に大浜浦に創建された古社とされています。その後は久城の緒継浜に移り、平安中期(1026年)の万寿地震の大津波の影響で社殿が流されたため、現在の明星山に移されたんだそうです。
なお、櫛代賀姫神社は『延喜式』にも記される式内社であり、中世には上府八幡宮(浜田市)から浜八幡宮が勧請され、武運の神として崇敬を集め、当地を本拠とする益田氏によって手厚く保護されたと云われています。
祭神
櫛代賀姫神社の祭神は以下の通りです。
・櫛代賀姫命(くしろかひめ):『記紀』には登場しない神であり、この地方を開拓した櫛代族の祖神とされる
・応神天皇(他二柱):八幡大神であり、中世に上府八幡宮から勧請されたとされる
・応神天皇(他二柱):八幡大神であり、中世に上府八幡宮から勧請されたとされる
櫛代賀姫神社にまつわる伝承
櫛代賀姫神社にまつわる伝承として、以下の様な説話があります。
櫛代賀姫命と櫛色天蘿箇彦命
美濃郡久城に住む櫛代賀姫ノ命(クシロヒメ、カグヒメ)は、那賀郡久代に住む櫛代天ノ蘿箇彦命(クシロヒコ、アメノコケツヒコ)と美濃郡鎌手村大字大谷の雄島と雌島で会合するのが常であった。
男神の立つ雄島を彦島とも云い、女神の立つ雌島を姫島とも云う。この二柱の神が島にじっと立ち、互いに相対して望んだ時にはニ柱の夫婦の間には世にも珍しいメオジ(虹)が出現した。
男神がこの地に会合に通う時にはいつも頬被り被っていたが、頬被りが脱げようとするので、いつも頬被りが脱げないように注意を払って、被り添えないではいられなかった。
この頬被りを被っていた間は月の面は被われて暗いが、次第に脱げかけると大きくなって月光は煌々と輝いたという。
美濃郡久城に住む櫛代賀姫ノ命(クシロヒメ、カグヒメ)は、那賀郡久代に住む櫛代天ノ蘿箇彦命(クシロヒコ、アメノコケツヒコ)と美濃郡鎌手村大字大谷の雄島と雌島で会合するのが常であった。
男神の立つ雄島を彦島とも云い、女神の立つ雌島を姫島とも云う。この二柱の神が島にじっと立ち、互いに相対して望んだ時にはニ柱の夫婦の間には世にも珍しいメオジ(虹)が出現した。
男神がこの地に会合に通う時にはいつも頬被り被っていたが、頬被りが脱げようとするので、いつも頬被りが脱げないように注意を払って、被り添えないではいられなかった。
この頬被りを被っていた間は月の面は被われて暗いが、次第に脱げかけると大きくなって月光は煌々と輝いたという。
持三郎の神話
応安(室町時代)に遡る昔、匹見澄川持三郎(地名)の匹見河岸の岩上に八幡神を祀った小祠があった。
ある年の大洪水で神社は奔流に押し流され、御神体は日本海上を漂って益田鎌手地区の大谷・大浜両村の境に漂着した。これを発見した両浦の漁民はお互いに神体の奪い合って争ったが、和談の結果、久城の櫛代賀姫神社の境内に奉斎した。当時は武家の鼻息が強く、従来の賀姫神社は次第に影を薄くし、武神たる八幡宮が勢力を進展したという。
なお、この神社の習俗として相撲の儀があるのは、御神体を発見した際に大谷・大浜両浦の漁夫が互いに組み合って演じた喧嘩の残名りを示すものであり、針拾いの神事は御神体を三田瀬で拾った時、匹見の者がその場に立ちあったが たまたま所持していたた針を失い、これを探し求めた故事が習俗として神社に残されたものである。
明治維新後、櫛代賀姫神社は再び頭角を現し、反対に八幡宮は影をひそめた。今日持三郎の河岸にある岩は、ただ昔物語を伝えるだけで、何も跡が遺っていない。
応安(室町時代)に遡る昔、匹見澄川持三郎(地名)の匹見河岸の岩上に八幡神を祀った小祠があった。
ある年の大洪水で神社は奔流に押し流され、御神体は日本海上を漂って益田鎌手地区の大谷・大浜両村の境に漂着した。これを発見した両浦の漁民はお互いに神体の奪い合って争ったが、和談の結果、久城の櫛代賀姫神社の境内に奉斎した。当時は武家の鼻息が強く、従来の賀姫神社は次第に影を薄くし、武神たる八幡宮が勢力を進展したという。
なお、この神社の習俗として相撲の儀があるのは、御神体を発見した際に大谷・大浜両浦の漁夫が互いに組み合って演じた喧嘩の残名りを示すものであり、針拾いの神事は御神体を三田瀬で拾った時、匹見の者がその場に立ちあったが たまたま所持していたた針を失い、これを探し求めた故事が習俗として神社に残されたものである。
明治維新後、櫛代賀姫神社は再び頭角を現し、反対に八幡宮は影をひそめた。今日持三郎の河岸にある岩は、ただ昔物語を伝えるだけで、何も跡が遺っていない。
特殊神事
櫛代賀姫神社では以下の特殊神事が行われるそうです。
角力神事
角力神事(すもうしんじ)とは、以下の故事に因んで相撲を行う特殊神事である。
万寿地震の後の祭神の遷座地を決める協議の折、大浜浦と大谷浦の人々の間で我が浦に遷座させようと争いが起こった。
そのときに両浦の屈強な若者を選出し、角力(すもう)で勝負を決めることにした。しかし、なかなか勝負がつかず、神意によって結局久城の地に遷座されたという。
角力神事(すもうしんじ)とは、以下の故事に因んで相撲を行う特殊神事である。
万寿地震の後の祭神の遷座地を決める協議の折、大浜浦と大谷浦の人々の間で我が浦に遷座させようと争いが起こった。
そのときに両浦の屈強な若者を選出し、角力(すもう)で勝負を決めることにした。しかし、なかなか勝負がつかず、神意によって結局久城の地に遷座されたという。
針拾神事
針拾神事(はりひろいしんじ)とは、以下の故事に因む特殊神事である。
万寿地震の後の遷座地を巡って起こった争いがあまりに激しく、その仲裁に入った老婆が大切にしていた針を無くしてしまった。その針を探す様は、あまりに狂気染みていたという。
しかし、後に老婆のもとに神から一本の針が授けられ「女は縫い針の業を疎かにすべからず」との神示を下された。
針拾神事(はりひろいしんじ)とは、以下の故事に因む特殊神事である。
万寿地震の後の遷座地を巡って起こった争いがあまりに激しく、その仲裁に入った老婆が大切にしていた針を無くしてしまった。その針を探す様は、あまりに狂気染みていたという。
しかし、後に老婆のもとに神から一本の針が授けられ「女は縫い針の業を疎かにすべからず」との神示を下された。
なお、これらの神事は神幸祭の日に行われるとされています(日時不明)。また、地元では度々石見神楽が奉納される神社として知られているそうです。
境内の見どころ
鳥居
櫛代賀姫神社の鳥居です。
拝殿
櫛代賀姫神社の拝殿です。
両側の小屋には神や天狗が描かれた絵画が奉納されています。
本殿
櫛代賀姫神社の本殿です。
地方特有の特徴ある形とされることから、国の有形文化財に登録されているそうです。
大元神社・祖霊社
櫛代賀姫神社の境内社である大元神社・祖霊社です。
ここの大元神社の祭神は、土着の農耕神とされる「大元神」を祀っていると思われます(付近に数多くある神社)。
土俵
櫛代賀姫神社の境内の外れにある土俵です。
特殊神事である角力神事の際に使用されるものと思われます。
櫛代賀姫神社展望地
櫛代賀姫神社には展望地があります。
神社の付近は海が広がっており、ここから砂浜や夕日を望むことができるそうです。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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