人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

島根県江津市和木町にある大年神社(おおとしじんじゃ)です。

大年神を祀る大年神社の一社であり、社殿や狛犬に赤褐色の石州瓦が用いられています。


神社概要

概要

創建年代は不詳とされますが、同市内にある石見二宮の多鳩神社の末社とされます。

なお、周辺および石見地方一帯には大年神社(大歳神社)が数多く存在しています。

祭神

大年神社の祭神は以下の通りです。

・大年神(オオトシノカミ):『古事記』によれば、スサノオとカムヤオオイヒメの子とされる(石見地方に広く分布)
・稲倉魂命(ウカノミタマ):稲荷神であり一般的に女神とされる(しかし、この社では男神とされるようです。)

境内社

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

大年神社の境内社は大元神社恵比須神社であり、祭神は以下の通りです。

・大元神社:國常立尊(クニノトコタチ)※異説あり
・恵比須神社:事代主命(コトシロヌシ)

なお、大元神社は石見地方に数多く分布しており、多くの神社の境内社としても祀られています。

他県の大元神社の祭神は國常立尊(クニノトコタチ)とされるのが一般的ですが、石見地方では「大元神」とされ、古くから島根県西部に根付く「大元信仰」に由来するとも云われています。

そのため、大年神社の祭神も この「大元神」であるとも考えられます。ちなみに、江津市桜江町に伝わる「大元神楽」は大元信仰に由来する神事とされ、石見神楽の中でも古い型である「六調子」という形式で行われているそうです。

境内の見どころ

拝殿

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

大年神社の拝殿です。

社殿には、石見地方で多く見られる赤褐色の石州瓦が用いられています。

本殿

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

大年神社の本殿です。

神紋

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

大年神社の「三つ盛り二重亀甲に花菱」となっています。

石州瓦の狛犬

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

大年神社の狛犬は石州瓦と同様に、赤褐色の石見焼となっています。

色や材質が地域特有であり、非常に珍しいです。

なお、参道には筆塚もあり、江津地方にも縁の深い「柿本人麻呂」と関連するものと思われます。

謎の布袋

人文研究見聞録:大年神社(和木町) [島根県]

境内には布袋像も祀られています。

しかし、これについては謎です。

料金: 無料
住所: 島根県江津市和木町41(マップ
営業: 終日開放
交通: 都野津駅(徒歩24分)、自動車推奨
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。