人文研究見聞録:若宮八幡社(名古屋市) [愛知県]

愛知県名古屋市中区栄にある若宮八幡社(わかみやはちまんしゃ)です。

飛鳥時代に創建された古社であり、江戸時代には名古屋総鎮守として尾張藩の崇敬を集めたとされています。

なお、名古屋市街を貫く「若宮大通」は、若宮八幡社に由来しているそうです。


由緒

社伝によれば、文武天皇の時代(大宝年間:701~704年)に那古野庄今市場(現在の名古屋城三の丸の地)に創建されたと伝えられています(Wikipediaによれば、天武朝の創祀とも)。

その後、延喜年間(901~923年)に再興され、かつては天王社(現・那古野神社)と隣接していたとされます。しかし、天文元年(1532年)3月11日に織田信秀が那古野城を攻めた際に焼失し、天文8年(1539年)に再建されたそうです。

また、後に豊臣秀吉より社領200石の寄進を受け、慶長15年(1610年)の名古屋城築城の際に現在地に遷座して、江戸時代は尾張徳川家の氏神であり、名古屋の総鎮守として、武将の篤い崇敬を集めたとされます。

そして、寛文4年(1664年)には尾張藩主・徳川光友によって社殿の造営が行われ、社僧を廃止と例祭の興隆が行われたそうです。以来、歴代の尾張藩主の崇敬篤く、元禄2年(1689年)には社領100石が寄進され、明治維新までは藩主によって営繕が続けられたとされています。

祭神

若宮八幡社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・仁徳天皇(にんとくてんのう):第16代天皇であり、八幡神(応神天皇)の御子神として全国の若宮社で祀られる
・応神天皇(おうじんてんのう):第15代天皇であり、八幡神として全国の八幡宮で祀られる
・武内宿禰命(たけうちのすくね):景行~仁徳の5代天皇に仕えた中心で、大臣を司った氏族の先祖に当たる

境内社

人文研究見聞録:若宮八幡社(名古屋市) [愛知県]

若宮八幡社の境内社は以下の通りです。

・若宮龍神社:白龍大神を祀る(厄除・病気平癒など)
 → 昔、境内の大木に白蛇が棲み付いていたことに由来する(弁財天の化身として信仰される)
・若宮恵美須神社:事代主神(コトシロヌシ)を祀る(商売繁盛)
・連理稲荷神社奥之院:連理稲荷大神を祀る(縁結び)
 → 2本の木が連なる連理木を祀るため、縁結びの信仰がある
・合殿(5社を合祀する)
 → 熊野社:速玉男神(ハヤタマオ)を祀る(契約・約束)
  ⇒ 熊野速玉大社を本社とする
 → 日吉社:大山咋神(オオヤマクイノカミ)を祀る(山・治水)
  ⇒ 日吉大社を本社とする
 → 香良洲社:稚日女命(ワカヒルメ)、少彦名命(スクナヒコナ)を祀る
  ⇒ 香良洲神社を本社とする
  ⇒ 稚日女命は天照大神の幼名であるとされる
 → 天神社:菅原道真公を祀る(学問)
  ⇒ 太宰府天満宮を本社とする
 → 秋葉社:火之迦具土神(ヒノカグツチ)を祀る(火)
  ⇒ 秋葉山本宮秋葉神社を本社とする
・神御衣神社:衣縫命(きぬぬいのみこと)、素戔嗚命(スサノオ)を祀る(裁縫・恋愛成就)
 → 針塚で針供養が行われることで知られている
・産宮住吉神社:祭神不詳
 → 住吉町の氏子によって創建された
  ⇒ カラクリ人形9体を御神体として祀る

幸せの糸巻

人文研究見聞録:若宮八幡社(名古屋市) [愛知県]

若宮八幡社では、神御衣神社の御守として「幸せの糸巻」という赤・紫・白・黄・緑の5色の糸が巻かれた珍しい形の御守が授与されています。

料金: 参拝無料
住所: 愛知県名古屋市中区栄3-35-30(マップ
営業: 終日開放、無休
交通: 矢場町駅(徒歩5分)、大須観音駅(徒歩5分)

公式サイト: http://www.wakamiya.or.jp/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。