人文研究見聞録:四天王寺どやどや [大阪府]

大阪市天王寺区にある四天王寺では、毎年1月に「四天王寺どやどや」という行事が行われます。

極寒の中、紅白のふんどしを締めた裸の男達が魔除けの護符を奪い合うという内容から奇祭としても知られています。

2017年に この行事に参加してきたので、参加レポートを以下にまとめてみたいと思います。

概要

四天王寺について


人文研究見聞録:四天王寺どやどや [大阪府]

四天王寺(してんのうじ)は 大阪市天王寺区に位置する寺院であり、「天王寺」という地名の由来にもなっています。

その歴史は古く、推古天皇元年(593年)に聖徳太子によって創建されたと伝えられており、鳥居前の石碑に「大日本佛法最初四天王寺」とある通り、日本最初の官寺(国営の寺院)であるとされています。

なお、『日本書紀』によれば 創建当初は四天王を祀っていたとされますが、現在は救世観音菩薩(くせかんのんぼさつ)を本尊とする和宗の総本山寺院となっています。

詳しくはこちらの記事も参照:【四天王寺】

四天王寺どやどやとは?



四天王寺どやどやとは、毎年1月14日に四天王寺の六時堂で行われる行事(法要の一環)であり、「紅白のふんどしを締めた裸の男達が 魔除けの護符 を奪い合う」という内容から、奇祭としても知られています。

四天王寺では元旦から14日までの間、修正会(しゅしょうえ)という"新年の天下泰平・五穀豊饒を祈願する法要"が行われており、そこで祈祷を終えた護符は牛王宝印(ごおうほういん)と呼ばれています。

この牛王宝印は、修正会結願(最終日)に柳の枝に挟んで参詣者に授与されますが、かつては六時堂から僧侶が撒き散らしていたので、集まった大勢の人々が群がって奪い合っていたそうです。

どやどや という名は 護符を奪い合う人々がドヤドヤと群がる様子から名づけられたといわれており、現在の行事では人々が群がって護符を奪い合っていた様子が再現されています。

なお、参拝客用の牛王宝印は どやどや終了後に六時堂で授かることができます(1本1000円)。

当日のスケジュール


人文研究見聞録:四天王寺どやどや [大阪府]

四天王寺どやどやのスケジュールは以下の通りです(観覧は六時堂)。


・14:20~14:30:どやどや園児の部
・14:35~15:00:どやどや中高生の部1
・15:05~15:35:どやどや中高生の部2


参加レポート

どやどや開始前の様子(14:30頃)


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六時堂周辺
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本坊方面

当日は14:00頃に四天王寺に到着しましたが、14:30頃には既に六時堂の周りに人が集まっています。

スケジュールでは中高生の部1が行われる時間ですが、2017年にはその様子は見られませんでした。

六時堂への入場(15:00頃)


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若者の行列(紅組は反対側)
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六時堂に向かう
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紅白両組が六時堂に集まる
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行事の説明が行われる

15:00になると、笛と掛声ともに紅白のふんどし姿の若者たちが現れます(本坊出発)。

紅白の若者たちは左右二手に別れ、足踏みして身体を温めながら六時堂へと進んでいきます。

紅白の若者たちが六時堂前に集まると、左右から冷水がぶっかけられます。

しばらくすると若者は座らされ、仕切り役による説明が行われます(この間も冷水がまかれる)。

紅白各組の護符の奪い合い(15:15頃)


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六時堂に入場する
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堂内で護符を奪い合う
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護符を取った者が堂内に残る
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白組の次に紅組が行う

説明が終わると、まずは白組の若者たちが六時堂の中央に集まります。

次に紅組から数人が堂内に上がり、白組の若者たちの周りを囲んで押し込みます。

しばらくすると空中から数枚の護符が降って来るので、若者たちは一斉にこれを奪い合います。

なお、この間も冷水は容赦なくぶっかけられます。

奪い合いが終わると、護符を取った者以外は堂内から退出させられ、取った者に歓声が送られます。

白組の次は紅組が堂内に上がり、同様に護符の奪い合いが行われます。

紅白両組の護符の奪い合い(15:20頃)


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紅白両組が堂内に入る
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両組で護符を奪い合う
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取った枚数の多い組の表彰
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どやどや終了の号令

各組の奪い合いが終わると、最後に紅白両組による護符の奪い合いが始まります。

もちろん この間の冷水がぶっかけられ、紅白両組の若者たちが競って護符の奪い合います。

この護符の奪い合いが どやどや最大に見どころであり、迫力満点となっています。

奪い合いが終わると護符を取った者が堂内に残り、紅白両組で取った枚数を競い合います。

そして、勝った組は万歳三唱を行い、観客からも歓声が送られます(2017年は白組の勝利)。

札の奪い合いが終わると仕切り役が終了の号令を発します。

六時堂からの退出(15:30頃)


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六時堂から退出する
人文研究見聞録:四天王寺どやどや [大阪府]
本坊に向かう

両組は一旦 六時堂に入って列を整え、笛と掛声とともに六時堂から退出します。

六時堂周辺を練り歩きながら外に向かって進み、退出を終えたところで どやどやは終了を迎えます。

牛王宝印と牛王宝印楊枝の授与(どやどや終了後)


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牛王宝印楊枝

どやどやの終了後、六時堂で牛王宝印を受けることができます。

牛王宝印は、木槌に印章が刻まれているもので、頭に押されることで魔除・厄除の加持を受けることができます。

また、牛王宝印楊枝(護符が柳の枝に挟まれたもの)の授与も行われています(1本1000円)。

牛王宝印楊枝は、田畑に立てると害虫除けや豊作になるとされ、玄間に飾ると魔除・厄除になるとされています。

料金: 無料
住所: 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18(マップ
時間: 14:20~15:35(行事の時間)
交通: 天王寺駅(徒歩10分)、四天王寺夕陽丘駅(徒歩14分)

公式サイト: http://www.shitennoji.or.jp/event/1/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。