赤手拭稲荷神社 [大阪府]
2015/04/18
大阪市浪速区にある赤手拭稲荷神社(あかてぬぐいいなりじんじゃ)です。
商売繁盛などに御利益があるとされており、上方落語「ぞろぞろ」の舞台としても知られています。
神社概要
由緒
『浪速区史』によれば、慶長年中(1596~1615年)に堤の中央にあった浪除松(なみよけまつ)と呼ばれる一大老松の下に祀られた神祠に始まり、当初は「松の稲荷」と呼ばれていたとされます。
その後、霊験を得た者たちが集って神社を建て、祠前に"紅染めの手拭"を献じることが恒例となり、やがて「赤手拭稲荷」と呼ばれるようになったそうです。
そのため、手水舎には今なお"赤い手拭"が奉納されています。
祭神
赤手拭稲荷神社の祭神は以下の通りです。
・豊受大神(トヨウケビメ):食糧や産業を司る神とされる(伊勢外宮の主祭神)
→ 倉稲魂命(ウカノミタマ)と同一神とも考えられている
→ 『ホツマツタヱ』という文献によれば、5代目タカミムスビであり、イサナミ(伊弉冉尊)の父であるとされる
・宇受売神(アメノウズメ):「日本神話」の天岩戸神話で、岩戸の前で舞い踊った女神(日本最古の踊り子とされる)
→ ニニギの天孫降臨に追従し、後にサルタヒコの妻となったとされる
→ 主に芸能の神として信仰される
→ お多福(おかめ)のモデルとなったとされる
・大山祗命(オオヤマツミ):山の神、田の神とされる
・猿田彦大神(サルタヒコ):天孫降臨の際に、ニニギ(天孫)を道案内した神
→ 道開き(導き)の神として信仰される
→ アメノウズメと対であり、夫婦神として扱われることが多い
→ 天狗の原型とされている
→ 田の神、道祖神とする説もある
・倉稲魂命(ウカノミタマ):稲荷神
→ 食糧や五穀豊穣を司ることから、豊受大神や保食神と同一視される
→ 宇迦之御魂神と表記されることも多い
→ 倉稲魂命(ウカノミタマ)と同一神とも考えられている
→ 『ホツマツタヱ』という文献によれば、5代目タカミムスビであり、イサナミ(伊弉冉尊)の父であるとされる
・宇受売神(アメノウズメ):「日本神話」の天岩戸神話で、岩戸の前で舞い踊った女神(日本最古の踊り子とされる)
→ ニニギの天孫降臨に追従し、後にサルタヒコの妻となったとされる
→ 主に芸能の神として信仰される
→ お多福(おかめ)のモデルとなったとされる
・大山祗命(オオヤマツミ):山の神、田の神とされる
・猿田彦大神(サルタヒコ):天孫降臨の際に、ニニギ(天孫)を道案内した神
→ 道開き(導き)の神として信仰される
→ アメノウズメと対であり、夫婦神として扱われることが多い
→ 天狗の原型とされている
→ 田の神、道祖神とする説もある
・倉稲魂命(ウカノミタマ):稲荷神
→ 食糧や五穀豊穣を司ることから、豊受大神や保食神と同一視される
→ 宇迦之御魂神と表記されることも多い
上方落語 ぞろぞろ
赤手拭稲荷神社は、上方落語「ぞろぞろ」の舞台としても知られています。この内容は以下の通りです。
落語「ぞろぞろ」
大阪難波にある赤手拭稲荷の門前。閑古鳥が鳴いている茶店で、老人夫婦がこぼしている。
「なあ婆さん。もうアカンで。残ったあるの言うたら、わずかな駄菓子と、壁に吊ったある草鞋一足だけじゃ。誰アれもお参りにこんさかい、二人で首括るしかないンとちゃうかな。」
「お爺さん。そんなこと言うもんやないで、何事も信心やさかい、こなたお稲荷さんにお参りに行きなされ。」
「ほんに、そうやなあ。」
と二人はどん底にありながらも信心だけは忘れなかった。早速、爺さんは稲荷に参詣し心から店が繁盛することを祈った。
帰って間もなく、一人の客が来て
「ごめん」
「へえ。おこしやす」
「壁に吊ったある草鞋おくんなはれ」
「へえ。三文でおます。まいどありがとうさんで。…婆さん。とうとう最後まであった草鞋売れてもたで。もう、店何にもあらへん。…いよいよ終わりかいな」
と二人が嘆いていると、
「ごめん」
「あ…おこしやす」
「草鞋おくれんか」
「へえ。まことに申し訳ございまへんが、草鞋たった今売り切れてしまいまして」
「何言うとんねん。壁に吊ったァるやないか。あれ、売らんのか」
見れば、草鞋がある。
「へ…。あっ、これはとんだことで、三文いただきます。毎度ありがとさんで。…おかしいなあ。さっき売れたはずやのに」
またまた客が来て草鞋を買う。これはどうしたことかと訝る二人の目の前で、壁に新しい草鞋がぞろぞろと降りてくる。
「ああっ! 婆さん見たか」
「わたいも見ました」
「ああ~っ! お稲荷さんのご利益やア」
二人は大喜び、これから吸い寄せられたように次々と客が草鞋を買いに来る。二人は一転して生活が楽になった。
これを見ていた向かいの床屋の親父、ここも同じように閑古鳥が鳴いている。
向かいの様子を羨んで
「もし、何であんたとこは客が来るようになりましてん」
と尋ねにきた。
「いやあ。それが、お稲荷さんのご利益や」
と老人夫婦は一部始終を説明した。
「そうか。…やはり信心はするもんやなあ。ようし、わいもお稲荷さんにお願いしよ」
と親父も爺さんと同じように稲荷に参詣し、
「どうか。正一位稲荷大明神様。わたくしもあの年寄り夫婦と同じご利益が授けられますように。」
と心から祈った。
急ぎ帰ってみれば、店は客であふれかえっている。
「おい!おやっさん。はよしてェな。わたい急いでるねん」
と口々に叫んでいる。
(うわァ。お稲荷さんのご利益やがな。)
と内心大喜びの床屋、ではとばかりに客の鬚をすっとそると、髭がぞろぞろ生えてきた。
参考資料:ウィキペディア「ぞろぞろ」
大阪難波にある赤手拭稲荷の門前。閑古鳥が鳴いている茶店で、老人夫婦がこぼしている。
「なあ婆さん。もうアカンで。残ったあるの言うたら、わずかな駄菓子と、壁に吊ったある草鞋一足だけじゃ。誰アれもお参りにこんさかい、二人で首括るしかないンとちゃうかな。」
「お爺さん。そんなこと言うもんやないで、何事も信心やさかい、こなたお稲荷さんにお参りに行きなされ。」
「ほんに、そうやなあ。」
と二人はどん底にありながらも信心だけは忘れなかった。早速、爺さんは稲荷に参詣し心から店が繁盛することを祈った。
帰って間もなく、一人の客が来て
「ごめん」
「へえ。おこしやす」
「壁に吊ったある草鞋おくんなはれ」
「へえ。三文でおます。まいどありがとうさんで。…婆さん。とうとう最後まであった草鞋売れてもたで。もう、店何にもあらへん。…いよいよ終わりかいな」
と二人が嘆いていると、
「ごめん」
「あ…おこしやす」
「草鞋おくれんか」
「へえ。まことに申し訳ございまへんが、草鞋たった今売り切れてしまいまして」
「何言うとんねん。壁に吊ったァるやないか。あれ、売らんのか」
見れば、草鞋がある。
「へ…。あっ、これはとんだことで、三文いただきます。毎度ありがとさんで。…おかしいなあ。さっき売れたはずやのに」
またまた客が来て草鞋を買う。これはどうしたことかと訝る二人の目の前で、壁に新しい草鞋がぞろぞろと降りてくる。
「ああっ! 婆さん見たか」
「わたいも見ました」
「ああ~っ! お稲荷さんのご利益やア」
二人は大喜び、これから吸い寄せられたように次々と客が草鞋を買いに来る。二人は一転して生活が楽になった。
これを見ていた向かいの床屋の親父、ここも同じように閑古鳥が鳴いている。
向かいの様子を羨んで
「もし、何であんたとこは客が来るようになりましてん」
と尋ねにきた。
「いやあ。それが、お稲荷さんのご利益や」
と老人夫婦は一部始終を説明した。
「そうか。…やはり信心はするもんやなあ。ようし、わいもお稲荷さんにお願いしよ」
と親父も爺さんと同じように稲荷に参詣し、
「どうか。正一位稲荷大明神様。わたくしもあの年寄り夫婦と同じご利益が授けられますように。」
と心から祈った。
急ぎ帰ってみれば、店は客であふれかえっている。
「おい!おやっさん。はよしてェな。わたい急いでるねん」
と口々に叫んでいる。
(うわァ。お稲荷さんのご利益やがな。)
と内心大喜びの床屋、ではとばかりに客の鬚をすっとそると、髭がぞろぞろ生えてきた。
参考資料:ウィキペディア「ぞろぞろ」
境内の見どころ
鳥居
赤手拭稲荷神社の鳥居です。
拝殿
赤手拭稲荷神社の拝殿です。
石碑・祠
赤手拭稲荷神社の手水舎の脇には、いくつかの石碑・祠があります。
スポンサーリンク
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
スポンサーリンク
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿