奇祭・飛鳥坐神社のおんだ祭2016 [奈良県]
2016/09/01
奈良県の明日香村にある飛鳥坐神社では、毎年2月に奇祭「おんだ祭」が行われます。
今回は、このおんだ祭2016に参加してきたので、その様子をレポートしたいと思います。
概要
飛鳥坐神社とは?
飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)とは、奈良県の明日香村に鎮座する神社であり、創建年代は不明とされるものの、古文献の記述に基づく由緒正しい古社であるとされています。
なお、当社の由緒・祭神について記す文献はいくつかあり、その内容もそれぞれ異なります。また、宮中から出された天照大神が初めて祀られたとする「倭笠縫邑」はここであるという伝承もあることから、近世までは「元伊勢」と称していたそうです。
詳しくはこちらの記事を参照:【飛鳥坐神社】
おんだ祭とは?
おんだ祭とは、毎年2月の第1日曜日に飛鳥坐神社で行われる「御田植神事(五穀豊穣を願う儀式)」であり、神事の中で「夫婦和合の儀式(子宝を願う儀式)」として、天狗とお多福による性交(のマネ事)を披露することから奇祭として有名です。
神事は二部構成となっており、第一部では"天狗・翁・牛が、昔ながらの道具を使って田植えを行い"、第二部では"天狗・お多福が神前で昔ながらの形式で結婚式を執り行った後に「夫婦和合の儀式」を行う"といった内容になっています。
なお、神事の始まる前には、神社周辺で地元青年団が扮する天狗・翁・牛らがササラ(竹を細かく裂いた棒)を持って参拝者のお尻を叩きながら厄を祓う「厄除け神事」が行われています。
参加レポート
おんだ祭のタイムスケジュール
おんだ祭のタイムスケジュールは以下の通りです。
・11:00~ 神社周辺で「厄除け神事」が行われる
→ 天狗・翁・牛らがササラ(竹を細かく裂いた棒)を持って参拝者のお尻を叩いて廻る
→ 13:00頃から神楽殿前が混み始める(早めに場所を確保しないとかなり混む)
・14:00~ 第一部「御田植神事」の開始
→ 開始5分前くらいに天狗と牛が境内に入ってくる
→ 開始すると宮司が祭文を読みだす
→ 神に神饌を奉じる
→ 玉串奉納
→ 御田植神事(田植えを模した神事)
⇒ 種撒き
⇒ 植付け
⇒ 松の小枝を客席に投げ入れる(拾ったものを田に植えると虫が寄り付かないとされる)
→ 浦安神楽(浦安の舞)
・第二部
→ 夫婦円満の儀式(宮司による解説あり)
⇒ 鼻つきめし奉納(婚礼の儀)
⇒ 汁かけ(竹筒で酒を注ぐ)
→ 夫婦和合の儀式
⇒ ササラでお多福の尻を叩く
⇒ 種つけ(性交の儀式)
⇒ ふくの紙を投げる(神事に使った紙が投げられ、これを拾うと子宝に恵まれるとされる)
・15:00ごろ 餅撒き(2000個)
→ 天狗・翁・牛らがササラ(竹を細かく裂いた棒)を持って参拝者のお尻を叩いて廻る
→ 13:00頃から神楽殿前が混み始める(早めに場所を確保しないとかなり混む)
・14:00~ 第一部「御田植神事」の開始
→ 開始5分前くらいに天狗と牛が境内に入ってくる
→ 開始すると宮司が祭文を読みだす
→ 神に神饌を奉じる
→ 玉串奉納
→ 御田植神事(田植えを模した神事)
⇒ 種撒き
⇒ 植付け
⇒ 松の小枝を客席に投げ入れる(拾ったものを田に植えると虫が寄り付かないとされる)
→ 浦安神楽(浦安の舞)
・第二部
→ 夫婦円満の儀式(宮司による解説あり)
⇒ 鼻つきめし奉納(婚礼の儀)
⇒ 汁かけ(竹筒で酒を注ぐ)
→ 夫婦和合の儀式
⇒ ササラでお多福の尻を叩く
⇒ 種つけ(性交の儀式)
⇒ ふくの紙を投げる(神事に使った紙が投げられ、これを拾うと子宝に恵まれるとされる)
・15:00ごろ 餅撒き(2000個)
おんだ祭の様子
当日は周辺の調査も併せて行っていたため、飛鳥坐神社に着いたのは13:30頃でした。
この時間には神社周辺に多くの見物客が集まっており、牛・天狗・翁が"ささら"で客の尻を叩いて廻っています(厄除け神事)。
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なお、神社周辺には屋台が出ていますが、その軒数は5軒程度と非常に少なかったです。
祭の開始時間20分前に境内に入りましたが この時間には既に人混みで溢れかえっており、良い場所は取れませんでした。
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おそらく見物客は1時間前には集まり始めると思うので、間近で見たい方は早めに場所を確保することをお奨めします(混んだ後は拝殿前辺りが比較的空いている)。
14:00頃、祭が開始され、上記のスケジュール通り催行されます(タイムスケージュール参照)。なお、祭の開始の5分前頃に神社周辺で尻を叩いていた牛・天狗・翁が境内に戻ってきます。
祭が開始されると、まず宮司が祭文を読み始め、神に神饌(供物)を捧げます。
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その後、玉串奉納、御田植神事へと続き、天狗と牛による"種まき・植付け"が行われます。これが終わると客席に"松の小枝"が投げ入れられます。この"松の小枝"は"田に植えると虫が寄り付かない"と言われているそうです。
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この後、巫女による"浦安神楽(浦安の舞) "が舞われ、祭の第一部が終了となります。ちなみに、祭の流れに合わせて放送で説明が入るので、祭の趣旨が分かりやすいです。
浦安神楽 |
神楽の後、祭の第二部が始まり、おんだ祭の一番の見どころである"夫婦円満の儀式・夫婦和合の儀式"が始まります。
まずは天狗とお多福の婚礼の儀式である"夫婦円満の儀式"が行われます。この儀式には天狗・お多福・翁が登場し、"鼻つきめし"と呼ばれる山盛りの飯の真ん中に箸が刺さったものが奉納されます。そして、天狗が股間に竹筒を構えて酒を注ぐ"汁かけ"が行われます。
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この後、"夫婦和合の儀式"が始まります。この儀式では、まずは天狗がお多福の尻をササラで叩きます。その後、翁がゴザを敷いて寝床を整え、天狗とお多福が合体します。なお、"種つけ(合体)"の最中には翁は上着を広げて隠す仕草をしますが、最終的には天狗の背中を押して行為をサポートします。
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"種つけ"が終わると股間を紙で拭き、これを客席に投げ入れます。この股間を拭いた紙は"ふくの紙"と呼ばれ、拾うと幸運を授かり、使うと子宝に恵まれると言われているそうです。そのため、投げられた後は争奪戦になります(前列のみ、1回につき何枚か投げる)。
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なお、"夫婦和合の儀式"は計2回行われ、2回目はお多福が天狗の尻をササラで叩き、同様に"種つけ"の行為を終えた後に"ふくの紙"が投げられます。つまり、"ふくの紙"を拾うチャンスは2度あるということです。
そして、最後に"餅まき"が行われて、これが終わると晴れて おんだ祭は終了となります。
ちなみに、祭が終わると授与所や拝殿が非常に混むので、参拝も兼ねて訪れる人は最初にお参りしておいた方が無難です。また、祭の後にも境内や神社周辺で天狗や牛による厄除け神事が行われます。
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また、当日にはバスの臨時便が出るようで、飛鳥寺付近のバス停留所に駅までのバスが止まっていました(詳しい時間は分かりません)。
様子の解説は以上です。参考までにビデオを貼っておきますので、よろしければご覧ください。
雑記
おんだ祭は近年有名になっているためか、客層は幅広く、老若男女問わず多くの見物客が集まっていました。なお、地元民らしき子供も多く訪れており、地元でも有名な祭と認識されているようです。
また、古くから行われている祭のようですが、放送による詳しい説明も無かったため、具体的な由緒は分かりませんでした。しかし、当社には男女の性器を模った石像が奉納されているため、古くから性器崇拝があったものと思われます。
なお、性器崇拝を行っている社寺では天狗とお多福が男女の代表として登場することが多いのですが、概ね天狗はサルタヒコ、お多福はアメノウズメであるとされています(これら二神は道祖神としてセットで祀られていることも多い)。
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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