人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

京都市北区にある平野神社(ひらのじんじゃ)です。

平安遷都に伴って鎮座した古社であり、毎年 春に様々な桜が咲き誇る桜の名所としても有名です。

※写真の一部は、ウィキメディアコモンズよりパブリックドメインの画像を拝借しています。


神社概要

由緒

由緒書によれば、平安遷都に伴って平城京から当地に遷された神社であり、平安中期には、伊勢神宮、賀茂神社、石清水八幡宮、松尾大社に次ぐ名社に数えられたとされます。

また、公式サイトによれば、『続日本紀』の延暦元年(782年)の条に「田村後宮の今木大神に従四位を授ける」とあることから、元は平城京の宮中(光仁天皇の御所)に祀られていたとされ、当地には延暦13年(794年)の平安遷都と共に遷座したと説明されています。

さらに近年の研究によれば、元々は桓武天皇の生母である渡来人・高野新笠(たかののにいがさ)の祖神(桓武天皇外戚神)として平城京に祀られていた神祠であったとされ、それが平安京遷都に伴って大内裏近くに遷ったものと推測されているそうです。

なお、古代には皇太子守護の性格を持ち、平安時代には例祭である平野祭にて皇太子自らにより奉幣が行われたとされ、さらに多くの臣籍降下氏族から、氏神として歴史的に崇敬された神社であるとも云われています。

祭神

平野神社の祭神は以下の通りです。

主祭神

・平野神(四座)
 → 今木皇大神 (いまきのすめおおかみ、今木神):源気新生・活力生成の神(主神)
 → 久度大神 (くどのおおかみ、久度神):竈の神・生活安泰の神
 → 古開大神 (ふるあきのおおかみ、古開神):邪気を振り開く平安の神
 → 比売大神 (ひめのおおかみ、比売神/比咩神):生産力の神

祭神について

平野神社の祭神は、現在では祭神四柱の総称として「平野神」と称されていますが、"元々は主神の今木神のみを意味している"という説など古来より諸説あり、大まかに分けると以下のような説が挙げられています。

・桓武天皇生母の高野新笠の祖神とする説
・竈神(かまどがみ)とする説
・今木・久度・古開・比売神をそれぞれ源氏・平氏・高階氏・大江氏の祖神とする説

境内社

摂社・縣神社

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の摂社・縣神社 (あがたじんじゃ)です。

本殿の玉垣内に鎮座しており、祭神に天穂日命(アメノホヒ)を祀っています。

末社

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八幡神社
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春日・住吉・蛭子・細女社
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出世引導稲荷神社
人文研究見聞録:平野神社 [京都府]
猿田彦神社

平野神社の末社は以下の通りです。

・八幡神社
・四社併祀社(春日・住吉・蛭子・鈿女)
・出世導引稲荷神社
・猿田彦神社

境内の見どころ

大鳥居

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の大鳥居です。

南門

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の南門です。

東神門

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の東神門です。

拝殿

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の拝殿です。

本殿

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の本殿です。

桜苑

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の桜苑(おうえん)です。

平野神社では、桜を生命力を高める象徴として平安時代から植樹しており、現在では約60種、約400本の桜が植えられているとされています。

中でも、魁桜・寝覚・胡蝶・嵐山・虎の尾・平野妹背・御衣黄・松月・手弱女・突羽根という種類の桜は、珍しい品種であるとされており、「平野の桜珍種十品種」と呼ばれているそうです。

なお、3月末~4月下旬頃まで夜間はライトアップされており、「平野の夜桜」として京都の代表的な花見スポットとして有名になっているそうです。

御神木

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社の御神木(ごしんぼく)です。

この御神木は、樹齢400年といわれる大楠であり、御神木に触れながら木の周りを廻ると、活力・生命力を授かることができるとされています。

そのため、平野神社の密かなパワースポットになっているそうです。

すえひろがね(餅鉄)

人文研究見聞録:平野神社 [京都府]

平野神社にある「すえひろがね」です。

餅鉄(べいてつ)」という種類の石であり、磁力を帯びた摩訶不思議な石とされています。

神社の説明によると、平安京が遷都した頃、京は既に みちのく(東北地方)との往来は盛んであり、古くから不思議な力を持った石の存在については、京でも知られていたそうです。

なお、三種の神器の一つもこの石から作られたという話もあるとされます。

かつての村人の間では不思議な力がある事から、粉にして邪気を吸い取る薬としても用いられており、また、古くは神様が宿っているのではないかとも伝えられ、古代は神秘の石として崇められていたそうです。

当社の「すえひろがね」は、ある時、「活力を与えてくださる神様を祀られる平野神社に奉納したい」と、遥々陸奥から運び込まれたものであるとされており、専門家曰く、日本最大の「すえひろがね」であるといわれています。

ちなみに、餅鉄自体は岩手県が産地として有名であり、たたら製鉄などの古代製鉄において、重要な原料として盛んに採集され、日本刀の原料にもされたんだそうです。

なお、平野神社の「すえひろがね」は、御神木と同様にパワースポットと言われており、御神木の周りを廻った後に「すえひろがね」に触れると、未知なる力を授かれるといわれています。

料金: 無料
住所: 京都府京都市北区平野宮本町1(マップ
営業: 6:00~17:00
交通: 北野白梅町駅(徒歩10分)

公式サイト: http://www.hiranojinja.com/
matapon
著者: matapon Twitter
「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。