猿沢池 [奈良県]
2017/06/28
奈良県奈良市の奈良公園にある猿沢池(さるさわいけ)です。
興福寺付近にある池であり、市民や観光客の憩いの場として親しまれています。
また、七不思議や多くの伝説を持つ不思議な池としても知られているようです。
概要
猿沢池とは?
猿沢池(さるさわいけ)とは、天平21年(749年)に興福寺が行う放生会の放生池として造られた人工池です。
放生会(ほうじょうえ)とは、万物の生命を慈しみ、捕獲した魚や鳥獣を野に放して殺生を戒める宗教儀式とされます。
なお、現在は奈良公園の一部として整備され、市民の憩いの場として親しまれているそうです。
猿沢池の七不思議
猿沢池には、昔から以下のような言い伝えがあるとされています。
・澄まず:決して澄むことがない
・濁らず:決して濁ることがない
・出ず:水が流出しない(減ることなく、常に一定の水量を保っている)
・入らず:水が流入しない(溢れることなく、常に一定の水量を保っている)
・蛙はわかず:亀はたくさんいるが、蛙はいない
・藻は生えず:藻が生えない
・魚が七分に水三分:毎年多くの魚が放流されているが、魚で溢れることがない
・濁らず:決して濁ることがない
・出ず:水が流出しない(減ることなく、常に一定の水量を保っている)
・入らず:水が流入しない(溢れることなく、常に一定の水量を保っている)
・蛙はわかず:亀はたくさんいるが、蛙はいない
・藻は生えず:藻が生えない
・魚が七分に水三分:毎年多くの魚が放流されているが、魚で溢れることがない
采女神社
猿沢の池の辺にある采女神社(うねめじんじゃ)です。
猿沢池に身投げした采女を祀る神社であり、現在では春日大社の末社となっています。
なお、由緒書による解説は以下の通りです。
春日大社末社 采女神社
【祭神】
・采女命(うねめのみこと):猿沢池に身投げした采女
【由緒】
奈良時代、天皇の寵愛が薄れた事を嘆いた采女(女官)が猿沢池に身を投げ、この霊を慰める為、祀られたのが采女神社の起こりとされる。入水した池を見るのは忍びないと、一夜のうちに御殿が池に背を向いたと伝えられる。
例祭当日は采女神社本殿にて祭典が執行され、仲秋の明月の月明かりが猿沢の池に映る頃、龍頭船に花扇を移し、鷁首船と共に二隻の船は幽玄な雅楽の調べの中、猿沢の池を巡る。
【祭神】
・采女命(うねめのみこと):猿沢池に身投げした采女
【由緒】
奈良時代、天皇の寵愛が薄れた事を嘆いた采女(女官)が猿沢池に身を投げ、この霊を慰める為、祀られたのが采女神社の起こりとされる。入水した池を見るのは忍びないと、一夜のうちに御殿が池に背を向いたと伝えられる。
例祭当日は采女神社本殿にて祭典が執行され、仲秋の明月の月明かりが猿沢の池に映る頃、龍頭船に花扇を移し、鷁首船と共に二隻の船は幽玄な雅楽の調べの中、猿沢の池を巡る。
采女祭
采女祭(うねめまつり)とは、毎年仲秋の名月の日(旧暦8月15日)に行われる采女神社の例祭です。
猿沢池に身投げした采女の霊を慰める祭として始められ、祭の最中に行われる花扇奉納行事は、王朝貴族が七夕の夜に秋草で飾った花扇を御所に献上し、庭の池に浮かべて風雅を楽しんだ古事に由来するとされています。
なお、猿沢池の案内板による解説は以下の通りです。
【采女まつり】
猿沢池の北西に池を背にした「采女神社」がある。采女まつりは中秋の名月の祭礼。
時の帝の寵愛の衰えたのを苦に、月夜に この池に身を投げた采女の霊を慰める お祭りで花扇奉納の行事がある。王朝貴族が七夕の夜、秋草で飾った花扇を御所に献じ、庭の池に浮かべて風雅を楽しんだ古事による。
数十人の稚児が引く花扇車や、十二単の花扇使が御所車で市中をねり、名月が姿を現すこと、竜頭船に花扇を移し、管弦船からの雅楽の調べとともに、池を二周 花扇は水面に浮かべられる。
猿沢池の北西に池を背にした「采女神社」がある。采女まつりは中秋の名月の祭礼。
時の帝の寵愛の衰えたのを苦に、月夜に この池に身を投げた采女の霊を慰める お祭りで花扇奉納の行事がある。王朝貴族が七夕の夜、秋草で飾った花扇を御所に献じ、庭の池に浮かべて風雅を楽しんだ古事による。
数十人の稚児が引く花扇車や、十二単の花扇使が御所車で市中をねり、名月が姿を現すこと、竜頭船に花扇を移し、管弦船からの雅楽の調べとともに、池を二周 花扇は水面に浮かべられる。
猿沢池の伝説
悲恋の采女と衣掛柳の伝説
『大和物語』には、猿沢池に関する以下のような伝説が記されています。
昔、奈良の帝(天皇)に使えていた采女(女官)がいた。
容姿が美しかったので多くの人々から求婚され、殿上人からも言い寄られていたが逢うことはなかった。采女は帝に限りない思いを寄せていたからである。
帝は一度 采女を召したが、二度と召すことがなかったので、限りなく悲しい思いをしていた。この思いは、夜昼問わず心に掛かっていたために、恋しく侘しい気持ちは募っていった。
帝は采女を召したが特に思いを寄せることはなかった。しかし、采女は宮中で日々に帝を拝見していたので、このまま生きているのが居た堪れなくなり、夜に密かに御所を抜け出して猿沢池に身投げしてしまった。
采女が身投げしたことを帝は知らなかったが、事のついでに人から聞いて これを知った。帝はいたく哀れに思い、猿沢池のほとりに行幸して人々に歌を詠ませた。
そこで、柿本人麻呂が「わぎもこが 寝くたれ髪を 猿沢の 池の玉藻と 見るぞ悲しき(猿沢池の水草を見ると、愛しい人が寝て乱れた髪を思い出してしまって悲しい)」と詠んだ。
これに帝は「猿沢の 池もつらしな 我妹子が 玉もかづかば 水ぞひなまし(猿沢池も酷いものだ、私の愛しい人に水草が絡んだならば、水を干上がらせてくれれば良いのに)」と詠み、猿沢池に墓を建てて帰っていった。
容姿が美しかったので多くの人々から求婚され、殿上人からも言い寄られていたが逢うことはなかった。采女は帝に限りない思いを寄せていたからである。
帝は一度 采女を召したが、二度と召すことがなかったので、限りなく悲しい思いをしていた。この思いは、夜昼問わず心に掛かっていたために、恋しく侘しい気持ちは募っていった。
帝は采女を召したが特に思いを寄せることはなかった。しかし、采女は宮中で日々に帝を拝見していたので、このまま生きているのが居た堪れなくなり、夜に密かに御所を抜け出して猿沢池に身投げしてしまった。
采女が身投げしたことを帝は知らなかったが、事のついでに人から聞いて これを知った。帝はいたく哀れに思い、猿沢池のほとりに行幸して人々に歌を詠ませた。
そこで、柿本人麻呂が「わぎもこが 寝くたれ髪を 猿沢の 池の玉藻と 見るぞ悲しき(猿沢池の水草を見ると、愛しい人が寝て乱れた髪を思い出してしまって悲しい)」と詠んだ。
これに帝は「猿沢の 池もつらしな 我妹子が 玉もかづかば 水ぞひなまし(猿沢池も酷いものだ、私の愛しい人に水草が絡んだならば、水を干上がらせてくれれば良いのに)」と詠み、猿沢池に墓を建てて帰っていった。
采女が猿沢池に身投げする際に衣を掛けたのが、衣掛柳(きぬがけやなぎ)と云われているそうです。
その他の伝説
猿沢池のその他の伝説は以下の通りです。
・猿沢池の名前の由来は、インドのヴァイシャーリー国の猴池(びこういけ)から来たものと言われている
→ 「猴」の字は、尾の短い種類のサルを指すとされる
・奈良県大淀町にある「おいの池」と地中でつながっているという伝説がある
→ 「おいの池」は、興福寺の僧に恋をした娘・おいのが身投げしたとい伝説がある
⇒ 伝説では、身を投げたおいのの笠が猿沢池に浮かんでいたという
・1959年に七不思議に反して池の水が赤くなり、「この世の終わり」と騒がれたとされる
→ 七不思議の「濁らず」に反しているため
→ 「猴」の字は、尾の短い種類のサルを指すとされる
・奈良県大淀町にある「おいの池」と地中でつながっているという伝説がある
→ 「おいの池」は、興福寺の僧に恋をした娘・おいのが身投げしたとい伝説がある
⇒ 伝説では、身を投げたおいのの笠が猿沢池に浮かんでいたという
・1959年に七不思議に反して池の水が赤くなり、「この世の終わり」と騒がれたとされる
→ 七不思議の「濁らず」に反しているため
周辺の様子
猿沢池の風景
猿沢池の風景です。
周辺にはベンチなどの休憩スポットが多数あり、トイレも設置されています。
九重塔
猿沢池の辺にある九重塔です。
スッポン
猿沢池にはカエルは見えませんでしたが、スッポンはいるみたいです。
料金: 無料
住所: 奈良県奈良市登大路町猿沢49(マップ)
交通: 近鉄奈良駅(徒歩7分)
公式サイト: http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/02nature/07park/01north_area/sarusawanoike/
住所: 奈良県奈良市登大路町猿沢49(マップ)
交通: 近鉄奈良駅(徒歩7分)
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「日本神話」を研究しながら日本全国を旅しています。旅先で発見した文化や歴史にまつわる情報をブログ記事まとめて紹介していきたいと思っています。少しでも読者の方々の参考になれば幸いです。
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